東西脱原発トークバトル 松本哉対談
脱原発トークバトルダイジェスト
脱原発トークバトル1
脱原発トークバトル2
脱原発トークバトル3
脱原発トークバトル4
“松本 哉” vs“ 中村和雄”もくじ
※スタッフが編集した要旨です
脱原発。放射能。再生可能エネルギー
オキュペーションは貧困格差を打ち破れるのか
会場からの質疑応答
脱原発。放射能。再生可能エネルギー
なぜ原発なくしたい? 理由もへったくれもない(松本)「収束」で終わり? 絶対に許してはならない(中村)
司会
いま脱原発の運動がなぜ必要だと思うか。
原発をなくしたいという思いの根本を
お聞かせいただきたいと思います。
松本
なぜ原発をなくしたいか。
とりあえず単純に言っちゃえば
理由もへったくれもいらないぐらいだと思う。

こんな危ないものがあること自体が間違っていると思うし、
なんでこんなものをつくったんだろうっていうのがすげえあって、
誰がどう考えてもこれいらないでしょう。
こんなことになったりしたのを見たりしたら。
チェルノブイリでも見えているわけだし。

もうちょい考えてみると、
完全にこれ利権だとか、
結局金持ち連中がうまく生き延びるためのものとして
存在しているわけじゃない。
でも本当にその構造自体が、
もうこれで終わっているところだと思うんですよ。
金持ち連中がいて、利権の構造があって、貧乏人がうまく騙されてて、
そういう金持ちの利権を守るためのものが
いま存在しちゃっているような状態だったりとかしてて、
その構造というのは本当に日本の象徴だったりして、
もう結局金儲けだと。
経済の効率だったり、
そういうものばっかりを追求していって、
貧乏人の生活とかがほっとかれていったというか、
ひどい目にあっていったという構造が現れていると思うから、
原発をなくすというのが理由もへったくれもなくていいんです。
中村
ぼくは鉄腕アトム世代で、
ウランの平和利用ということに踊らされた世代で
すごい反省しているんです。
20数年前、京都で宮津火力発電所というのが建設されたんだけども、
反対の裁判をやって、よく分かったんだけど、
電力料金というのはメチャクチャなんだよね。
あれは民間会社というのはまったくの誤りで、
だって営業努力いらないんだもの。
とにかくどんなに費用をかけてもいい。
どんどんつくって広告かけてやって、
それプラス何%かを上乗せして、
それを電力料金に跳ね返らせるということを法律で決めている。

夏のピーク時、甲子園の決勝戦のときに
ガンガンみんなにクーラーを使ってもらって、
テレビをみんなに観てもらって、
電力のピークを上げるのです。
そうするとそのときの電力需要が
ちゃんとまかなえる施設をつくらないといけない
ということで、新しい施設をつくれる。
新しい施設をつくって
それを全部、電力料金に跳ね返らせる。
そうすればまたどんどん儲けられる。
これを繰り返す。

電力会社はもちろん大儲けしましたが、
ゼネコンもものすごい儲けた。
ゼネコンと軍需産業的な原発のメーカー、
それらがいくらで儲けているか情報公開が出てこない。
運動をやっているんだけども
「これは国の機関じゃありません。民間会社です」となる。
よく言われているんだけども、
機械などを納入するとき通常よりずっと高い値段で取引されている。
メーカーも高ければ高いほどいい、
ゼネコンだって高ければ高いほどいい、
みんな利益が一致してそれを全部、電力料金を払っている消費者に転嫁できる。
こんなことを許した国は情けないです。
そういうことを1つ1つ解体していかなければいけない。

橋下さんが
「送電分離だ。来年の株主総会でがんばろう。株主提案権を行使しよう」
ということをいま言っています。
それ自体は悪いことではない。
1つ1ついまから全部仕組みを変えていく。
脱原発というのは、松本さんと一緒で、
こんなたいへんな被害をおこしておいて、
それを収束したということで終わりにさせられては未来がない。
いまでも海の中にいっぱい放射能を垂れ流しているのを
ゼロカウントにするなどということを、絶対に許してはいけない。

いま止められないと止まらないし、
次は福井の14基のうちの1つかなという危険がある。
いま一緒に止めていきたい。
私たちが生きてきた中で
このことはしっかりしてこなかったことの
反省でもあります。

東京を逃げて大阪まで来た。4日間で金尽きたけど(笑)(松本) 長期微量汚染。広島原爆も、救援に入った人が(中村)
司会
原発事故後、いろんな運動がありました。
具体的にそれで社会が変わってきたでしょうか?
松本
変わってはいるけど変わってはいないというか、
原発が止まってないということがホント信じられない。
まだあんの?というか、
あの大爆発事故をみたら「すみませんでした」って止めるのが
普通の話じゃないですか。
それすらやってないというのはみっともないとしか言いようがない。
こんなことでは世界に顔向けできない。

とは言っても多分いろんな異常な盛り上がりのお陰で
いろんな効果を生んでいると思うんですよ。
いましぶとく原発を残そうとしているんだけども、
でもやっぱりやたら気をつかっている。
「原発を止める方向で…」みたいなことを微妙に薄く言ってみたりとか、
ホントだかウソだか分からないようなことばっかり言ってますが、
いまいろいろ盛り上がっているお陰で効果がある。
何にもやらなかったら
多分、いっせいにいま動かしているかもしれないですからね。
中村
6月に原発の20キロ圏まで行ってきて、
事故前からいまでも第一原発で働いている人たちの話を聞きました。
「事故になってはじめて現場で東電と東芝の職員を見た。
そして彼らと一緒に仕事をした」と言われた。
私が聞いた相手の人は7次下請で時給1000円ぐらい。
親方から指示されて「明日はどこだ」ということを言われる。
いわゆる放射線管理区域の建屋の中に
白い防護服を着て入るわけですが、
前もって言うと来ないから急に言われるそうです。
被曝をいっぱいしていて危険だということが分かってて、
でも特別の危険手当もゼロ円だし、
国民健康保険にも自分で入らなければいけないし、
ひどい状況なんです、ホントに。
でも上の方ではいっぱい儲けているという体質があるわけです。

原発というのは安いからいいエネルギーだと言われたでしょう。
でも原発のほうが高いんだということが明らかになってきた。
将来のエネルギーとして原発はよくないというのは、
だいたい共通点になってきたのかと。
すぐに止めろというところまでまだいっていないですが、
止めさせていく必要があると思います。

松本さん、東京はやっぱり地震のこともあったし、
セシウムも降ってきているから
それなりにみんな自分のことと思うんだけども、
京都はまだまだ他人事ではないかという感じがありますか。
松本
どうだろう…
でも原発事故があった直後に
いよいよこの世の終わりだと思って東京を逃げたんですよ。
大阪へ来たんですよ。
ただお金が尽きて4日間で力尽きて(笑)。
ただそのときに空気感は全然ちがいましたね、
あのとき東京で「大変だ」「大変だ」…ということばかりで、
みんな深刻そうで、みんなうつ病みたいな顔して歩いているんですよ。
暗いし、街も暗い、大変なことになったんだけど、
こっちへ来たらスーパーとかがすごい光っていて(笑)、
なんだここは…全然ちがうなと、
実感の違いはいまでもまだそれはあるんじゃないかと思う。
中村
阪神淡路大震災があったんですけど、
放射線のことはね、
いままで意識してなかったというのはありますよね。
そこをしっかり伝えていかなければいけない。
松本
怖いのはいまね、
東京でもやっぱり気にしている方なんですけど、
だいぶみんな慣れちゃってるというか、
もう気にしない人がすごい多い。
福島の方もどう考えても危ないところへ行っても
わりと慣れてちゃっているというか、
慣れさせられちゃっているように
生活しているじゃないですか、みんな。
そのへんはちょっと怖いですね。
このままずっと行ったときにどうなるか、
実際に人とか食べものとか植物に影響が出るまで
気づかないのかなと思うとちょっと怖いですね。
中村
私はずっと水俣事件の弁護団をやっていて、
とくにやっていたのは長期微量汚染なんです。
水俣病というのはもう50年ぐらい前に発生しているので、
その当時に「猫踊り病」と言われた、
急激な症状で脳がやられてしまったり、
胎児の段階で病気になったり、
汚染されたり、産まれてこれなかったり…
そういう症状があった人たちとは別に、
毎日毎日、少しずつ食べてきた、汚染されてきた、
そういうことで手足が不自由になるという
長期微量汚染の問題があるのです。
いまの福島市とか、非常に似ている状況になってくるんですよね。
それが実際に症状として出てくるのはかなりあとだから、
そのときにはじめてみんなが
「ああ、こんなにひどかったの」と。

放射線は目に見えない。
広島に原爆が落ちたあと、
調査や救援活動に入った人たちが、
何十年も経ってからいろいろ発症してくる。
そのことを国は認めない。
一昨日、大阪地裁でその判決が出ていますけど、
「国の基準がおかしい。そういう人たちもみんな原爆症だ。
被曝している影響でいまの症状が出ている」
ということに対して、
訴訟している人は20連勝、国は20連敗。
でも基準を変えない。
被害を小さく見せる必要があって、
無理やり被害を大きく見せない。

ちゃんとした正確な情報を伝えないということを
しっかりと見ておく必要があると思う。

「危ないから逃げなさい」と言わないのは犯罪。子どもはとくに(松本)情報を公開し、共有することから出発したい(中村)
松本
福島の人とか、放射線が高いところに
いまだに住んでいる人たちに
「危ないから逃げた方がいい」ということを言わないというのは、
それはすげぇ犯罪だと思う。
子どもはとくに。
「危ないけど承知しているのならいいんですよ」
ということをまだ言うのならいいんですが、
「大丈夫ですよ」って言うから
なんかそこから逃げる人に関して
地域の中ですごい「安全なのになんで逃げるの?オレはいるのに…」
といういがみ合いがはじまる。

ああいうのってそこの人たちのせいではなくて、
国がそのへんを曖昧にしているからでしょうね、 どう考えても。
中村
弁護士の仲間も白河で仕事していて、
すぐに子どもを連れて戻ってきているんだけども、
校長が「国が安全だと言っているのに
そんなことで騒ぎ立てて混乱させるような
あんたたちがおかしい」って。
国の基準がおかしいし、
国が安全だと言うこと自体が間違っているんだけども、
そのことを現場の人たちは信じたい
という思いがあるから
正確に考えないで、反逆的な、国賊だというような言い方をしてくる。

正確にいまの状況を伝えなければいけない。
国の法律で放射線管理区域というのがあるんですが、
1時間あたり0.6μシーベルト、その基準をみんな超えています。
駅に下りて測ったら、福島駅でも郡山でも超えているし、
通学路の中ではもう60倍とか50倍とか、すごい値が出ている。

京都市の市長になったら、
専門家をチェルノブイリから連れてきたいし、
放射線の怖ろしさ、正しい知識をみんなで共有することからはじめたい。
国というのはいかに情報を隠すかということがはっきりしてきている。
そこをなんとかしないといけない。
松本
逆にこっちもなんか政府の言うことを信用しすぎる悪いクセもついていて、
長い年月をかけて染みついてしまっていますからね。
もうちょっとそのへんを、法律がどうこうとか、
政府の言っている基準がどうこうということで
とらわれない感じでちゃんと自分たちで判断していくことも
やっていかないといけないと感じますね。
中村
枝野さん、彼は正確に言葉を使います。
「ただちに」「原則として」、これは全部裏なんです。
彼はよく知っているから
「将来は当然、出てくる。だけどただちには出ない」。
そして「原則として…例外はいっぱいあります」。
官僚ってわざとそういう言い方をして
「いやいやウソは言っていません」と言うわけですが、
そういうところをしっかり見抜く力を養っておく必要がありますよね。
情報も隠されていることがいっぱいあるから、
正しい情報と正しくない情報もあるんだけども、
ちゃんと情報を取捨選択できる能力を身につける必要がありますよね。

福島からとか、京都にも実は伏見区あたりに
1000人ぐらいお母さんと子どもたちが避難してきていて、
どんどん京都のなかでも運動が広がっているんですね。
福島でこんなことになっているんだ、
京都でこんなこともしていない、
そういう実態をしっかりと伝える人たちが大きな声をあげることが、
一番重要だと思います。
こういうデモなんか出たこともないお母さんたちが、
いま一緒に京都の中でデモデビューして広がっています。
それが大きな輪になったら日本が変わると思う。
松本
実際、どうなんですか。
さっきの話じゃないですけど、
京都だと一応、放射能的にはそこまでじゃないですか。
それを言ったときの反応というのはどんな感じなんですか。
東京だと絶対に何かしらの影響があるから、わりと反応はすごいあるんですけど。
中村
まだまだ「大げさなことを言いやがって」という人たちもいっぱいいる。
でもやっぱり小さい子どもがいて非常に不安だから、
しっかりと見ていこうという人たちもだいぶ広がっていますね。
松本
東京とか、福島とか、東北から
こっちへ逃げてきている人って結構いるんですか?
中村
いっぱいいますよ。
行政の発表だけで1000人だから。
それ以外に自主避難できていると思う。
松本
知り合いも京都に引っ越ししましたものね。
中村
東京からもいっぱい来ている。

新しい雇用、地産地消のエネルギー政策で変えていきたい(中村)
司会
利権構造の中で孫請け、あるいは4次、5次という
ものすごい派遣とかの労働者が使われている実態があると思うのですが、
そのへんの話を中村さんから
もう少し詳しく聞かせていただきたいと思いますが。
中村
普通でも2次とか、3次ぐらいの下請とかありますよね。
偽装請負と言っていつも告発して裁判やって、
「こんなの派遣法違反だ」ってやるんだけど、もっと明白な違反なんです。

もう実態も指揮管理・監督する人も完全に東芝の担当者なのに、
実際にはずっと7次とか8次とか、
一番ひどいのは私は直接会ってないんだけど、
15次の人までいるという、そういう利権構造。
だいたい1割5分から2割ずつ天引きしていく。
これは確かめられなかったんですけど、
管理会社からいっているお金を換算すると1人当たり1日20万円が、
ずっと天引きされて時給1000円・1日8000円になるわけです。

やりたくてやっているわけじゃない、
みんな被曝するということをよく知っています。
いつまで健康でいられるのか、
そして子どもをつくれるのかなという若い人もいます。
でも他に仕事がない。
地域経済全体が原発でもっているから、
他の仕事を探そうと思っても、
地域に残って家族と生活をしていこうと思うと
原発に頼らざるをえない。
ある意味で基地問題と非常に似ているなと思います。

ただ単に「原発なくせ」というだけではなくて、
原発にかわって、じゃあこういう雇用に変えていこうという代替案を
一緒に出していかなくてはいけないと思います。

よく言われますが、
実は原発があるところはだいたい風光明媚なすばらしい地形のところなんです。
逆に言うと、自然エネルギーの宝庫でもあるので、
その転換を政策的に、こういう形の雇用しましょう、
地産地消のエネルギー政策にしましょうとか。
そういうセットでないと地元は、
原発をなくしてしまったらうちの自治体はつぶれる、
補助金もなくなるということですから、
原発反対というときに、政策的なこともセットでやらないといけません。
 
この対談のトップへ戻る
次のページへ