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2018年11月

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雇用・労働
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DSC_1048.JPG昨日に労働弁護団の総会に参加するために札幌に行きました。働き方改革関連法によって労働基準法をはじめとする大きな改正が行われています。高度プロフェッショナルなる制度を職場に導入させない闘いや労働時間の短縮を図り,36協定による労働時間の延長を安易にさせない闘い、正規と非正規の格差を是正させていく闘い、広がる雇用によらない働き方を規制し働く者の権利擁護を図る闘いなど、たくさんの重要課題について議論してきました。
 昨日は、東京で行われた福祉国家構想研究会の「最低賃金1500円が作る仕事と暮らし」出版記念公開シンポジウムに参加しました。同書籍の執筆者である後藤道夫さん、伍賀一道さん、木下武男さん、小越洋之助さん、栗原耕平さん、中澤秀一さんから報告頂きました。労働運動にとって最低賃金の重要性がますます高まってきていることが確認されました。全国一律1500円を求める運動の正しさと必要性について様々な角度から説得的な報告がなされました。非正規労働者の割合は4割で横ばいとなっていますが、正規労働者の中にも非正規と同じ待遇の正規労働者(名ばかり正規)が増大しています。最賃ぎりぎりの基本給で処遇されている正規労働者がたくさん出てきています。若い人の中で特に多いのです。だからこそ、最低賃金の大幅引き上げは、労働運動にとって重要な課題となっています。
 最低賃金についてこれほどまとまった本は初めてです。まだお買い求め頂いていない方はぜひご購入ください。そして、最低賃金の全国一律1500円を求める運動にご参加ください。
 本日は,名古屋で行われている福祉国家構想研究会主催の「最低賃金1500円が作る仕事と暮らし」出版記念講演会に参加しています。中澤秀一さんが最低賃金額の根拠とすべき生計費調査について、後藤道夫さんが最低賃金の位置づけの家計補助からリビングウェイジへの転換について、輪明子さんが職種別最低賃金運動について、田知弘さんが「最賃引き上げによる地域経済の活性化について講演されます。
 この3日間、充実した学習の機会を得ることができました。これからの活動に反映させていきたいと思います。

 深夜残業や、夜勤と日勤を繰り返すなどの不規則な生活で起きる、体内時計の乱れによる不調の実態調査に厚生労働省が乗り出すとのことです。人工知能(AI)で集めたデータを解析し、改善のための指針を作るのだとのことです。
 
 調査の実施自体は悪いことではありませんが、あまりにも遅すぎた感がります。現在夜勤をする人は1200万人程度と推計されています。人間が「概日リズム」という24時間サイクルの体内時計をもち、食事、睡眠、排泄などに伴う体温や血圧、ホルモン分泌、脳の活動などを変化させ、調節していることは科学的に明らかになっています。生活が不規則だと、体内時計が乱れやすいことも判明しています。

 だとしたら、データ分析を待つまでもなく、深夜労働を規制する対策をまず実施すべきなのではないでしょうか。人間に有害であることがはっきりしている深夜労働や不規則な勤務形態を規制していくことをまったくしないまま、医学的な分析のためのデータを集積することは順序を間違えていると感じます。今回の働き方改革による労働時間規制はまったく不十分です。インターバル規制などを法制化することとともに、深夜労働の規制に早急に乗り出すことが厚生労働省が直ちに取り組むべき課題ではないのでしょうか。
 非正規労働者の権利実現の成果を次々と獲得してきている京都放送労働組合、なぜこれほどまでに運動の成果を得ることができているのでしょうか。
 その秘密を解説する京都放送労働組合の闘いの歴史を振り返る書籍「市民が支えたKBS京都の再建ー京都放送労組の闘い」が出版されました。

 脇田滋龍谷大学名誉教授は「KBS労組は社員だけを守るのではなく、施設内で働いているひとはみな仲間という考えである。労働法は"事実が契約を破る"という考え。組合は事実に基づいて連帯し待遇改善を求める。KBS労組は労働法の本筋、本来あるべき組合の姿を示している。多くの組合は、そこへたどり着かない。」と評価しています。

 京都放送労組は波瀾万丈の道を歩んできました。山段芳春や許永中など京都に蠢くアングラ人脈によって、会社ごと146億円で根抵当設定されていることが判明しました。
 経営が困難となり廃局倒産の危機が迫る中で、労働組合がとった方針は、組合員を中心にした従業員141人による京都地裁への会社更生法適用申請でした。「放送の灯を消さないで」と市民40万人を超える署名も集まりました。地裁は1年後の1995年10月に更生計画案を認可しました。その後も様々な妨害をはねのけて、2007年6月管財人は会社更生手続きの終結を宣言しました。

 京都放送労組は、再建のために、管財人や大株主、債権者らと対峙し、粘り強く闘ってきました。京セラの稲森氏らと丁々発止の交渉を繰り広げてきました。そこには常に「市民とともに歩む放送局」実現との確固たる方針がありました。
 京都放送労組はこうした中で、放送局構内で働く偽装請負スタッフを次々とKBS京都放送の正社員として認めさせてきているのです。
 この間の歴史的な闘争の中心として活動してきた古住副委員長は、多くの成果を上げている要因として、1つ1つの闘いの成果をきちんと文書化し蓄積し教訓として残してきたことをあげます。闘いの承継という観点からきわめて重要なことだと思います。
 さらに、古住副委員長は、京都放送労組が「同一価値労働同一賃金」を方針として持ち、誰でも自由に加入できる労働組合規約を持っていることを指摘します。労働組合が組合員だけの利益ではなく、職場で働くすべての労働者のための存在であることをしっかりと自覚して活動しているのです。
 京都放送労組には、経験豊富な組合活動家がたくさんいます。彼らは、気さくにわかりやすく若い組合員や校内スタッフの皆さんと接触しています。こうした組合リーダーたちの姿勢も京都放送労組が大きな成果を獲得してきた要因の1つです。
 
 皆さんに、ぜひ京都放送労組の歴史的な闘いを知ってもらい、これからの労働運動を展開するためのヒントを得ることができればと思い、紹介させて頂きました。
「市民が支えたKBS京都の再建ー京都放送労組の闘い」(1000円)のご購入は、京都放送労働組合(TEL/FAX:075(451)4468)まで
 昨日誕生日でした。10歳の時の誕生日にブラウン管白黒テレビで東京オリンピックの開会式の中継を見ながらいちごケーキのロウソクの火を吹き消したことを鮮明に覚えています。たくさんの誕生日のお祝いメッセージを頂きました。ありがとうございます。
 最低賃金の引き上げが重要課題です。全国一律1500円めざして運動を広げていきたいと思います。まず、明日の企画の案内です。京都弁護士会主催の集会が明日10月12日午後6時半から京都弁護士会館で行われます。最低賃金を考えるときの最重要要素である最低生計費の調査・分析を全国各地で行ってられる中澤秀一准教授の講演があります。エキタスKYOTOの代表である橋口昌治さんの活動報告、さらには日弁連韓国調査の報告もあります。是非ご参加ください。

 続いて、「最低賃金-1500円がつくる仕事と暮らし-」(大月書店)出版のお知らせです。私も参加させて頂いている福祉国家構想研究会の名だたる研究者の皆さんが総力を挙げて、最低賃金の1500円への引き上げの必要性を理論的に解明した書籍です。これからの最賃引き上げ運動に必読の書籍ですので、運動に関心のある方は是非ともご購入ください。
 価格は、1500円と言いたいところでしたが、昨今の出版事情から2000円(税込み2160円)です。でも、絶対お買い得です。

 ついでに私の講演の宣伝です。10月16日午後5時30分から全国家電会館で韓国最賃調査の報告を行います。東京の皆さん、お時間があればお越しください。DSC_1026.JPG
by 中村和雄 | トラックバック(0)
 韓国の最低賃金委員会委員の構成のあり方もわが国とは違います。公・労・使それぞれ9名、合計27名の委員で構成され、12名の事務局員がいます。
 労働側の推薦母体は、民主労総と韓国労総の2つのナショナルセンターですが、青年ユニオンや非正規センターなどナショナルセンターに属さない団体所属の者も推薦されているのです。
 使用者側の推薦団体は5つの使用者団体ですが、こちらもこれに属していない小商工人連合会所属の者も推薦されているのです。
労働団体も使用者団体も委員を自らの団体構成員で独占するのではなく、幅広く多様な層から推薦することによって、労働者全体・使用者全体の意見を委員会に的確に反映させようと努力しているのです。

 審議会における討議のための資料は、韓国労働研究院などから提供されるのですが、審議会独自に、年間3回ほどの現場訪問活動があり、労働基準監督官との座談会も開催されています。また、この間審議会において37カ国の最賃制度の調査を行い報告書にまとめています。このように韓国の最低賃金委員会は独自に相当程度の活動を行っています。わが国の最低賃金審議会に比べて旺盛な独自活動を展開している印象を持ちました。

 わが国の最低賃金審議会の委員の選任や活動のあり方を議論するうえで韓国の委員会の実情は大いに参考になります。
韓国最低賃金引き上げのための中小・零細企業対策について
 今回の韓国訪問調査において、零細企業主の団体である「小商工人連合会」では、あまりにも急激な大幅引き上げによって多くの事業主が経営継続が困難となっており、政府の対策が不十分であると訴えていました。われわれの帰国直後に8万人のデモが行われたとの報道もありました。ただ、わが国での中小零細企業支援策に比べると遙かに充実した対策がとられていました。わが国での最賃引き上げにあたって大いに参考になるので紹介します。。
① 雇用安定資金支援
 雇用者30人未満の事業主に対して、雇用者1人につき時給1500ウォン(150円)分を支給します。週40時間勤務の場合、月額13万ウォンを支給することになります。対象者237万人のうち220万人分(93パーセント)が申請され支給を受けました。一般会計予算より3兆ウォン(約3000億円)が支出されました
② 社会保険料等の減免 
  従来から行っている制度をさらに充実しました。10人未満の雇用者の事業主に対し、健康保険料、労災保険料、国民年金等の事業者負担部分を減額する制度です。雇用者5人未満の事業主に対しては90%、5人以上10人未満の事業主に対しては80%が減額されます。
③ クレジット手数料の一部負担
  韓国ではクレジットカード決済が一般的ですが、クレジット会社が多額の手数料を取るため中小零細企業の経営を圧迫しています。政府は、一定の事業者に対しクレジット手数料の一部を国が負担することとクレジット手数料の上限規制を政策課題として予算化しています。
④ 商店街の賃借料規制・フランチャイズ手数料規制
 商店街の多くの事業主は事業所を賃借しており、賃借料の負担が経営を圧迫しています。賃料の引き上げ率の上限規制を検討しています。また、フランチャイズに加盟している店舗は多額の手数料を徴収されています。公正取引法により、加盟店の従属性を緩和し、手数料額の上限規制などを検討しています。

けっして十分ではないのかもしれませんが、わが国の支援策とは雲泥の差です。今後の韓国の状況を注目したいと思います。
 韓国の最低賃金の大幅な引き上げは、文大統領だからできたと言う人がいますが、けっしてそれだけではありません。2017年5月に行われた大統領選挙に立候補した5人の候補者すべてが,選挙公約として最低賃金を時給1万ウォン(1000円)に引き上げることを掲げていました。実現の時期については、文候補ら3名が2020年としていたのに対して、あとの2名が2022年としていました。韓国では、貧困問題の解消、格差是正のために最低賃金大幅引き上げが必要であるということが、国民的な共通課題になっているいうことです。

 こうした共通理解が韓国内で形成されてきたのは、財閥と癒着して格差を拡大してきた前政権の政治に対する反対運動が、セウォル号事件を契機として大きく盛り上がったことがあります。文政権を誕生させた国民的運動が最賃の大幅引き上げを実現させてきた背景に存在すると言えるでしょう。

 近時の韓国での運動の盛り上がりをご確認ください。
https://www.youtube.com/watch?v=w9_hzRAukDg
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 7月29日から8月4日まで、日弁連調査団の一員として、韓国の最低賃金制度を調査してきました。
 韓国では、1988年1月1日から最低賃金制度が施行されていますが、施行時には10人以上の企業が対象でした。1999年9月に5人以上となり、2000年11月に1人以上となりました。適用産業は、1988年1月は製造業、1989年1月に製造業・鉱業・建設業となり、1990年1月に全産業に拡大しました。したがって、2000年11月以降は全労働者に最低賃金制度が適用となりました。

 韓国では全国一律の最低賃金制度となっていますが、2000年の最低賃金額は時給1600ウォン(160円)でした。その後毎年大きく引き上げられ、今年1月1日からの最低賃金額は時給7530ウォン(753円)となっています。今年の引き上げ率は16.4%、わが国の引き上げ率の5倍以上です。

 そして、さらに、来年1月1日からの引き上げ額が8月4日に確定しました。引き上げ率は10.9%、最低賃金額は8350ウォン(835円)となります。
 東京の最低賃金には及びませんが、日本の多くの地域の最低賃金額をすでに上回っています。

 韓国では、先の大統領選挙時に5人の候補者がいずれも最低賃金を1万ウォンにすることを公約としました。低所得者の底上げによって韓国経済を豊にするという政策が国内で共有されています。文大統領は、2020年に1万ウォンにするとしていました。少しテンポが遅れそうですが、わが国とは比べものにならない速度で引き上げが行われています。

 こうした大幅な引き上げを可能にしているのは、国民の強い支持があることはもちろんですが、中小零細企業に対する援助策がしっかりとなされていることにもよります。
 今回の調査の訪問先は、①韓国労働研究院(日本のJILPT)②雇用労働部(日本の厚労省)③最低賃金委員会(日本の中央最低賃金審議会)④青年ユニオン(最低賃金委員会の労働者委員の1人)⑤全国経営者総会(日本の経団連)⑥小商工人連合会(小規模零細企業団体)⑦韓国労総(労働ナショナルセンターのひとつ)⑧民主労総(韓国のナショナルセンターのひとつ)⑨労働法研究者ら(最低賃金委員会公益委員を含む)⑩民弁(弁護士団体)です。きわめて貴重な調査をすることができました。
 
 なぜ、韓国ではこうした大幅な引き上げが実現できるのに、日本では大幅な引き上げができないのか、どうすれば良いのかについて、今回の調査結果を踏まえて皆さんと議論していきたいと思います。調査内容の詳細は、あらためてご報告します。
 中央最低賃金審議会小委員会が今年2018年の全国地域別最低賃金の引き上げ目安額をまとめました。全国平均で時給26円の引き上げ、874円とするとしています。政府が「働き方改革実行計画」で掲げた3パーセントの目標をそのまま踏襲した形です。引き上げ目安額決定方式も従来と同様のA~Dの4ランク地域割り方式であり、A地域は27円、B地域は26円、C地域は25円、D地域は23円です。最高額の東京が985円、最低額の沖縄などが760円、地域格差はますます広がり225円となります。

 最低賃金の決定方式はもはや破綻しています。世界的は全国一律の方式が主流です。お隣の韓国も全国一律方式ですが、今年の最賃審議会の引き上げ額は16.4パーセントでした。2020年には1万ウォン(約1000円)が政府目標とされています。

 最低賃金は、労働者が安心して人間らしい文化的生活を営めることを保障したものでなければなりません。長時間残業に頼ることなく、普通に働けば普通の生活ができる,日本の働き方を変えるためにも最低賃金大幅引き上げが重要です。

 政府は外国人労働者の受け入れについて、製造業や水産業も含む単純労働全般にも対象を拡大する改正法を秋の臨時国会に提出するとしています。滞日外国人の人権を十分に配慮せずに、安価な外国人労働を利用しようとする政府・財界の思惑が見えます。今こそ、最低賃金をしっかりと引き上げて、労働の底上げを図ることが重要です。

 これから、各地の地方審議会で地域別最低賃金額が決定されていきます。目安額に追随するのではなく、地域の雇用状況や経営状況をしっかりと調査し科学的な分析を加えた十分な議論をしてもらいたいものです。そして、そうした議論経過を全面的に公開することを求めていきましょう。

 私は、今度の日曜日から1週間ほど,韓国の最低賃金の引き上げについて,行政機関や労使の団体、研究者たちに訪問調査させていただきます。帰国したら、また報告します。
 まもなく、今年の秋から引き上げとなる最低賃金額の審議が始まります。わが国の最低賃金額はOFECD諸国の中ではきわめて低い状態です。昨年全国平均は、25円上昇し848円となりました(京都は856円)。それでも、週40時間働いたとして月額14万67000円、年収176万円に過ぎません。フランス1325円、イギリス1145円,ドイツ1215円などと比べてあまりにも貧弱です。お隣の韓国は、2020年1000円とすることを3カ年で実現するとしています。
 
 最低賃金の引き上げは、貧困問題を解消するためのきわめて重要な政策です。そして、残業代に頼らずに法定労働時間の労働によって人間らしい暮らしを実現していくための重要な政策です。社会保障費の削減にもなります。しかも、この政策は予算がいらないのです。政府さえその気になれば、そして中小零細企業への支援がしっかりと整えられれば,大幅な引き上げが可能となるのです。

 そのためには、最低賃金引き上げの必要性・重要性を広く市民的に理解してもらうことと、中小零細企業支援策の具体化が重要です。7月29日から1週間ほど韓国で調査してきます。改めて韓国の状況を報告します。

 さて、京都でも最低賃金引き上げの必要性を明らかにするための最低生計費調査が始まります。週40時間普通に働けば,人間らしい文化的な普通の生活を営むことができる。そうした社会でなければおかしい。そのためには最低限の文化的な生活にはどれだけの費用がかかるのかを明らかにしておくことが重要です。この間、各地で全労連が中心となって、最低生計費調査が行われてきました。元々は、京都が最初に行ったのですが、だいぶ時間がたったので改めてこの秋に皆さんの協力を得て行うことになりました。全国的には、時給1500円なければとうてい文化的な生活はできないとの結果になっています。京都でどうなるのか、調査結果が楽しみです。

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