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京都市立浴場運営財団事件判決 報告

9月21日のブログでお伝えした判決について、多くの方からお問い合わせ頂きました。皆さんのご参考にして頂くために、概要をまとめてみました。少し長くなりますが、ご了承ください。


         京都市立浴場運営財団事件京都地裁判決(H29.9.20)報告
                                     
■ 事案の概要
  被告財団は、被告京都市が100パーセント出資して設立し、被告京都市からの出向職員らが事務の中心を担当する財団であり、京都市内の市立浴場を運営する。経営不振により解散となりましたが、正職員には退職金規程に基づく金額の35%のみ支給し、残額の支給はできていません。嘱託職員には退職金規程がなく退職金の支払いはありませんでした。
  正職員原告らは、被告財団に対して退職金残額の支払いを求めるとともに、被告京都市に対して被告財団と連帯して退職金を支払う義務があるとして同額の支払いを求めました。原告嘱託職員らは、正職員と同様の業務に従事し責任も同じであるにもかかわらず、退職金が支払われないのは不当だとして正職員と同率の退職金の支払いを被告財団に請求するとともに、被告京都市にも請求しました。
  判決は、被告京都市に対する請求を棄却し、被告財団に対する原告らの請求をいずれも認容しました。ただし、嘱託職員原告らに対する認容請求権は、退職金請求権ではなく、退職金相当額の不法行為に基づく損害賠償請求権です。

■ 嘱託職員に対する判決の意味
  1年有期契約を多数回(5回ないし13回)更新され、正規職員に比べ週の勤務日数が1日少なく(4日)1日の労働時間が30分短い(7時間15分)嘱託職員らが、旧パート法8条1項所定の「その全期間に置いて、正規職員と職務の内容及び配置の変更の範囲が同一の範囲で変更されると見込まれるもの」に該当するとして、正規職員らに関する退職金規程にもとづいて算出された退職金相当額を原告らの損害として不法行為の成立を認めました。今後立替払い請求や破産手続において、少しでも回収ができるように努力したいと考えています。
  本判決は、退職金規程がなくてもパート労働者が正職員と同じ退職金請求権のあることを認めた画期的なものです。このようなパート法8条(現行9条)違反の判決は全国で2例目です。大変貴重なものです。

■ 本判決の影響
  京都市に対する請求が認められなかったことは大変残念です。しかし、嘱託職員について、財団に対する退職金相当額の請求が認められたことは画期的なものです。
  本事件は、旧パート法8条の事案であり、現行パート法では9条に関する事案です。国会提案予定の働き方改革促進一括法案要綱よれば、現行パート法は対象を有期にも拡大することになり、パート法9条の均等待遇規定は有期にも適用となります。
  これまでの判例は、労契法20条の解釈において、契約期間の長短によって基本給などに差があることは不合理ではないとしています。退職金についても同様と考えられています。9条の要件に該当すれば、契約期間の長短を考慮要素にすることはできないのであり、今回の判決はそれを明確にしました。どうして労契法20条やパート法8条ならば契約期間の長短が考慮要素となり得るのか説明がつかないのではないでしょうか。裁判所の解釈は矛盾していることが明らかになったものです。労契法20条裁判の解釈にも大きく影響する判決だと考えます。

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