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「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」スタート

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 京都でも桜の開花です。ところで、一昨日、厚生労働省内に設置された「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」の第1回会合がありました。
非正規労働者が4割に達する中で、貧困と格差是正のために、同一(価値)労働同一賃金」を確立することは重要課題です。
 検討会は7人の委員で構成されていますが、労働法学者3名については私もよく知っている方々です。水町勇一郎東大教授、神吉知郁子立教大学教授、皆川 宏之千葉大学教授と3人ともとても信頼のできる方々です。検討会での充実した議論としっかりした提言を望むものです。


 「同一(価値)労働同一賃金」を論じるにあたって、いくつか注意して頂きたいことがあります。

① 「同一労働同一賃金」と「同一価値労働同一賃金」は、国際的には同じ意味です。もともとは同じ仕事に従事しているのであれば同じ賃金を支払うという「同一労働同一賃金」として出発したのですが、「同じ仕事」とは物理的に同じというだけではなく「同じ価値の仕事」にも適用するように拡がってきたのです。もっとも、わが国の財界の一部では、「現場で同じ仕事をしていても従事している仕事の価値が違うのだから賃金に差があるのは当然である」として、「同一価値労働同一賃金」を「同一労働同一賃金」と異なるものとして主張する方々がいることに注意する必要があります。

② 「同一(価値)労働同一賃金」は女性に対する差別を是正するために確立されてきた原則ですが、現在では雇用形態の違いによる差別を是正する原則としてひろく国際的に規範化されています。パート・有期・派遣等の非正規雇用労働者の正規雇用労働者との格差の是正のためにも有効な原則です。

③ 「同一(価値)労働同一賃金」の法的規制の適用範囲は、主として「同一使用者」の下での労働者間の差別に対して適用されます。使用者(企業)を超えた労働者間の賃金格差については裁判などによって規制することは困難です。もっとも、欧米では企業を超えて、同一職種の仕事に対しては同一の賃金を支払うことを協定することが広く行われています。これは、産業別労働組合と産業別使用者団体との協定にもとづくもので、労働組合運動の成果です。企業の枠を超えた「同一(価値)労働同一賃金」の確立は重要な課題だと考えますが、このことは法律などによる規制の枠組みとは別次元の課題です。したがって、パナソニックで働く労働者の賃金と東芝で働く労働者の賃金を比較して処遇改善を求めることは、労働運動の課題ではあるのですが、いま問題となっている法的規制としての「同一(価値)労働同一賃金」の問題ではないということです。

④ 「同一(価値)労働同一賃金」は職務に対する評価基準です。労働者が従事している職務(仕事)を比較するのであって、労働者を比較しているものではありません。同じ仕事をしている労働者の間において、仕事の達成度が異なることはあります。能力の違いがあります。そうした要素が賃金に反映することはあり得ます。しかし、それは「同一(価値)労働同一賃金」の問題ではないのです。「同一(価値)労働同一賃金」はあくまで職務を比較するものだということをご理解ください。よく、「同一(価値)労働同一賃金」は、仕事をさぼっている人とまじめに仕事をしている人が同じ賃金になって不公平であるという人がいます。同じ賃金とするのであれば不公平なのはその通りです。ただし、仕事をさぼっている人は「人事査定」の評価が低いのであって、さぼっていることは「職務」の評価ではありません。欧米では、「同一(価値)労働同一賃金」によっても「人事査定」評価の違いによる賃金の差が生じることは認めているのです。欧米では、「同一価値労働」に対応する「同一賃金」は「範囲レート職務給」といって一定の幅を持っているのです。その幅の中で「人事査定」による差が生じているのです。仕事をさぼっている人の賃金は真面目に仕事をしている人より低くなるのは当然です。

 以上は、現在の私の「同一(価値)労働同一賃金」についての理解です。誤りがある可能性が十分にあることをお断りします。なお、詳しくは、遠藤公嗣先生の「これからの賃金」(旬報社)をお読みください。

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