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2015年4月

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2015年3月アーカイブ
 報道によると、維新の党の足立康史衆院議員(比例近畿)は、25日に衆議院の厚生労働委員会で質問に立ち、元私設秘書から未払いの残業代700万円を請求されたことを明かし「払うことはできない。私たち政治家の事務所は、残業代をきっちりと労働基準法に沿って払えるような態勢かと問題提起したい」と述べ、未払いを正当化したとのことです。
 足立氏は「私は24時間365日仕事をする。そういう中、秘書だけ法に沿って残業代を支払うことはできない」と持論を展開。元秘書からの請求に対しては「ふざけるなと思う」と強弁したとのことです。
 取材に対し足立議員は「労基法は現実に合っておらず、見直しが必要だ。議論を喚起するために発言した」と述べたとのことです。

 最近、国会の場でとんでもない発言を平然とする議員がいるのに驚かされます。「八紘一宇」の三原じゅん子議員には唖然としましたが、足立議員も負けず劣らずの方のようです。国会では、労働時間規制を緩和しようとする労働基準法の改正案が議論されることになっています。自ら法律を守らないと公然と国会の場で発言することを躊躇しない議員に法案審議を任せるなど許すことはできません。抗議の声を上げましょう。
 労働時間規制を緩和する労働基準法改正法案が国会に提出されます。この中に「高度プロフェッショナル制度」という年収が1000万円を超える一定の職務に従事する労働者については,残業代割り増しの規制を含めて労働基準法の労働時間規制をすべて排除しようという制度の創設が提案されています。これはアメリカのホワイトカライグゼンプションを手本として類似の制度をわが国に持ち込もうとするものです。
 私は、1月25日から2月1日まで日弁連調査団の一員として,ニューヨークとワシントンを調査してきました。23日午後6時から衆議院会館で調査報告集会を開催します。ぜひご参加ください。労働省訪問時の質問と回答の一部配下のとおりです。わが国の制度として導入がふさわしいものであるかの参考にしてください。

2015年1月29日午後に労働省を訪問し、デービッド・ワイルド賃金時間局長ら労働省官僚から聴取した内容について、質問と回答の一部をお伝えします。

【質問】ホワイトカラーイグゼンプションの適用になる労働者の方が適用にならない労働者より、労働時間が長いのか?
【局長】特定の産業分野や、職種、職能を限定しないと明確な回答は難しい。ただ、全体として、大統領が我々に命じたように、ここ何年か、イグゼンプションの労働者が増え、その結果、労働時間が長くなっているという傾向にある。このことは政府として認識している。

【質問】労働省の立場として(個人的立場でもよいか)残業代訴訟が増えていることについて、どのように考えておられるのか?労働省がきちんと守らせていたら、訴訟は増えないともいえるが、リソース不足のなか、どのように対応しているか。
【局員】アメリカでは企業が730万、労働者数が1億3500万人である。これだけの労働者に対して、査察官が全米で1000人しかいない。労働省のリソース不足のなか、どうしたらより効果的に査察ができるか、特定の産業に、また、ある場所に集中するとかしないといけない。例えば、査察官が行ったということが知られることは効果的なので、広報している。毎年、査察できるのは1%程度である。

【質問】そもそもホワイトカラーエグゼンプションを導入することについて、働いた分はきちんと支払われなければならない、こうした労働者の権利からすると、ホワイトカラーイグゼンプションをを導入する事自体が問題だ、仮に、導入するとしても、ごく限られた範囲に、自分で労働時間をコントロールできるような労働者に限るべきだという考えがあるが、この考えについてどう考えるか。
【局員】大統領のメモランダム(覚書)にもある「1938年の法の精神にたちかえって」という部分、ここが非常に重要である。1938年、公正労働基準法が出来た当時の立法趣旨は「はたらいた時間すべてに賃金、残業代が支払われるべきである」であった。それを守らせるための法律が公正労働基準法(FLSA)だ。ここまでが質問にお答えできる。

【質問】ミニマムウエッジなら基準がはっきりしているから判断は簡単だが、イグゼンプションについては、基準はあいまいなところがあるので該当性の判断は難しい。現場で査察官はどのように判断しているのか?
【局員】ここにいる皆は査察官の出身だ(笑)。確かに、最賃の方が簡単だ。査察にいくとき、告知をしなけばならない。まず、使用者のとこに、イグゼンプトされている人のリストをだせと言う。そして、その人がどこにいるのか、どのように管理的か、休暇はどうか、など、使用者に、ヒアリングして資料を出させる。次に、労働者に、どのくらいの管理的、専門的な仕事をしているのかなどをヒアリングして、そこを付き合わせて判断していく。多くの場合、使用者は課長だからイグゼンプトだといわれることが多いが、付き合わせていくと、そこに多くの違反がある。
 また、使用者に言われて、自分はイグゼンプトだと思ってしまっている労働者が多い。管理的、運営的、専門的、それぞれ、規則に細かく規定されているが、例えば、管理的かと労働者に聞くと、イエスと答えることが多い。たとえば2~3人をまとめている場合、管理的だと使用者に言われ、そう思っている労働者が多いからだ。細かいインタビューをしないと該当するか否かわからない。確かに、基準があいまいともいえるが、あいまいななかにも基準がある。基準があり、それに基づいて労働者に質問する。事実を掘り出すために 詳細な綿密な聞き取りをする必要がある。査察に入り、イグゼンプション非該当を是正して取らせるバックペイ、残業代の方が、最賃違反の金額よりはるかに多い。

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 3月6日から9日まで韓国の江原に行っていました。今年で8回目となる労働法研究者の交流である「日韓労働フォーラム」が江原大学法科大学院で開催され、加してきました。
 韓国から15名ほどの各大学の労働法研究者の皆さんが参加され、日本からは萬井、脇田、和田、藤内、矢野、奥田の各氏をはじめとする研究者の皆さんと4人の弁護士が参加しました。

 1年ごとに日本と韓国とで相互に開催しているのですが、今年のテーマは「労働時間規制の現状と課題」でした。日本と韓国は、先進資本主義国の中で、飛び抜けて労働時間が長い国であり、過労死をはじめとする長時間労働の問題が指摘され、その抑制が課題となっています。両国の職場環境は共通する点も多く、労働法規制についても参考になる点が多数あります。

 今回は、日本側からは日本における労働時間規制の規制の概要と「高度プロフェッショナル制度」などの現在問題となっている労働時間規制の緩和政策の問題点についての報告があり、今後の労働時間規制のあり方について問題提起されました。韓国側からは、韓国における労働時間規制の概要と残業の割増賃金の 支払いについて法規制の課題と問題点について報告がなされました。
 お互いの国の制度の現状や課題、解釈上の問題点などについて大変勉強になり、刺激を受けました。
 これまで当然だとしてきた考え方に対して、別の考え方もありそちらの方が正しいのかもしれない。こんな示唆を受けるのも国際フォーラムの醍醐味です。今回も、たとえば、週40時間を超える残業割り増しの支払についての考え方において、わが国での取り扱いとは異なる解釈が韓国であることを知りました。

 第9回は今年の冬に金沢で開催する予定です。しっかり勉強しようと思います。

 フォーラム終了後、翌日にチュンチョンの観光地を案内頂きました。写真は、「冬のソナタ」でヨン様とチェジウ嬢が初キッスをする有名なロケ地です。すごい観光名所になりました。円安のせいでしょうか、日本の観光客はあまりいませんでした。
 安倍内閣による労働規制緩和立法がこの国会に次々と出されてきます。これらは、労働者代表が1人もいない規制改革会議や産業競争力会議で原案がつくられたものです。
 きわめて被民主主義的な安倍内閣の手法に日弁連も反対を表明しました。


公労使三者構成の原則に則った労働政策の審議を求める会長声明

 2015年2月13日、厚生労働省労働政策審議会(以下「労政審」という。)は、「今後の労働時間法制等の在り方について」との建議をとりまとめた。この建議は、「高度プロフェッショナル労働制」と称する、職務の内容や年収の要件を満たした労働者につき労働時間規制の適用除外とする制度の創設や、裁量労働制及びフレックスタイム制の規制緩和などを内容とする。この建議を受けて、労働基準法改正案が本年の通常国会において提出される予定である。
 上記建議が検討された労政審労働条件分科会においては、労働者委員から「長時間労働を誘発する懸念が払拭できない」など、新制度に反対する意見が繰り返し述べられていた。しかし、こうした労働者側の意見は反映されないまま、2015年1月16日に厚生労働省が発表した骨子案に沿った建議がなされたものである。公益委員案として作成された骨子案に沿って2014年1月29日に労政審労働力需給制度部会が建議した「労働者派遣制度の改正について」と同様の経緯をたどっている。
 労働者委員の意見が反映されない建議が連続する背景には、労政審で審議されるよりも前に、労働時間法制及び労働者派遣制度の見直しの内容と時期が盛り込まれた「日本再興戦略」及び「規制改革実施計画」が、政府の政策方針として閣議決定されているという問題がある。雇用政策を含む重点政策については、政府の諮問機関である産業競争力会議や規制改革会議で議論されているが、その構成員には大企業経営者や労働者派遣事業経営者など使用者側の利益から発言する者が多く含まれている一方で、労働者側の利益を代弁する者は一人もいない。つまり、使用者側の意見のみが反映された政策方針が先立って閣議決定されていることで、労政審において労働者委員が反対意見を述べても、反映されないという状況が続いている。
 ILO第144号条約及び第152号勧告は、労働分野の法律改正等については、政府委員・労働者委員・使用者委員の三者構成による効果的な協議を経て行うことを求めている。しかし、労働時間法制や労働者派遣法のように、我が国の労働法制の根幹をなす法制度の審議に関し、上記のような状況で建議がなされるならば、事実上ILOの要求する効果的な三者協議は骨抜きにされており、産業競争力会議や規制改革会議での審議自体がILOの要求に反している。
 当連合会は、2013年7月18日付け「『日本再興戦略』に基づく労働法制の規制緩和に反対する意見書」において、「規制改革会議や産業競争力会議は、資本家・企業経営者とごく一部の学者のみで構成されており、労働者を代表する者がまったく含まれていない。このような偏った構成で雇用規制の緩和を議論すること自体が不公正であり、ILOが労働立法の根本原理として推奨している政府・労働者・使用者の三者構成主義にも反する。」との意見を述べている。
 当連合会は、公労使三者構成の原則を形骸化する現在の労働政策の審議のあり方に反対するとともに、政府に対し、公労使三者構成の原則に則った公正な審議を求める。

2015年(平成27年)2月27日
日本弁護士連合会
会長 村 越   進 


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