本日、参議院で改正労働者派遣法が賛成多数で可決成立しました。30日以内の短期派遣を禁止し、派遣業者のマージン率を公開し、違法派遣の場合に派遣先企業が労働者に直接雇用契約を申し込んだとみなす制度を導入することになります。その意味では、現行の派遣法よりは少しだけ前進だと言えなくはありません。
しかしながら、年越し派遣村などによって派遣という働かせ方が社会問題となり、これを規制する方向で当時野党であった民主党などが共同提案していた「派遣法改正案」に比べるとあまりにもお粗末な内容になってしまっています。
目玉だった登録型派遣や製造業派遣の禁止の規定は削除され、日雇い派遣の禁止も「2ヶ月以内」が「30日以内」に修正されてしまいました。まさに骨抜き法にされてしまいました。
違法派遣の場合、派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす、との規程は残りました。これは現行法に比べ前進です。今後裁判においてこの規程を根拠に派遣先との直接雇用関係が認められることが可能となります。しかしながら、この部分の施工日、すなわちこの規定が効力を持つのは、法律施行部から3年後です。あまりにも時間がかかりすぎます。
現在、有期雇用規制法案が衆議院に上程されましたが、これもまた、きわめて不十分な内容となっています。わが国の2011年の非正規雇用者は1717万人、非正規率は35.4%に達しました。2010年の非正規率は33.6%だったのですから、1.8パーセントも上昇したことになります。非正規雇用者の増加は27万人だけでしたが、正規雇用者の減少は199万人と著しい増加でした。東日本大震災の影響もあるでしょうが、団塊の世代の大量定年退職が大きな原因ではないでしょうか。わが国雇用の非正規率は1990年に20パーセントであったのが毎年増加し、リーマンショックで非正規切りが強行された1999年を唯一の例外として、毎年右肩上がりの急上昇を続けているのです。
雇用の非正規化が著しいスピードで進行しているのがわが国の現状です。正規と非正規の労働条件格差が著しいことがますます雇用の非正規化を進行させています。いまこそ、ディーセントワーク(人間らしい働き方)の実現に向けて力を合わせていきましょう。